2009年 06月 12日
「政府紙幣」についての基本的Q&A
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Q ── 100年に一度といった経済の大危機の激震に直撃されている今、救国策として、最近注目を浴びているのが「政府紙幣」の大量発行という議論です。実は、これこそ丹羽先生が10年も前から提言されてこられた政策案ですね。
A: はい。国家財政が破綻に瀕して経済政策が麻痺し、国の衰退が深刻化してやまない悩み、これを一気に解決できる方法はないのかという発想からあみ出したのが、「政府貨幣・政府紙幣」発行権の大規模発動というビジョンです。
Q ── 「政府貨幣・政府紙幣」発行権とは、どんなことなのですか?
A: 私たちが普段使っているお金のうち、「お札」つまり日銀券は、日本銀行の発行ですが、コインは日銀ではなく、政府が出している「政府貨幣」です。「政府紙幣」もこれに含まれます。「日銀券」と「政府貨幣・政府紙幣」とでは、大きな違いがあります。日銀券は銀行券ですから、ひらたく言えば、日銀という銀行が振り出した手形と同じ借金の証文です。ですから、日銀券が発行されますと、日銀の会計では、その額だけ日銀の借金(負債)が増えたという勘定になります。ところが「政府貨幣」の発行額は、「政府紙幣」の発行額もですが、政府の負債にはなりません。コインや政府紙幣の発行益(専門用語では「造幣益」)は国家財政の正真正銘の収入となります。利息の支払いや担保は不要、返済も不要です。 国民にも負担をかけずに、巨額の財政財源が得られます。しかも、この「政府貨幣・政府紙幣」発行権は無制限に認められていて、数百兆円、数千兆円の発行も可能です。つまり、国は埋蔵金などとはレベルの違う無限大の貨幣発行特権という無形金融資産の「打ち出の小槌」を持っているのです。
Q ── この「打ち出の小槌」は法的にも認められているのですか?
A: はい、そうです。現行法「通貨の単位および貨幣の発行等に関する法律」(昭和62年、法律第42号)で、明白に認められていることです。ですから、現在の危機を突破するためには、今こそ、国家財政の財源として造幣益が十分に得られるように、「政府紙幣」を発行し始めるべき時なのです。しかし、日銀券と政府紙幣を併行的に流通させることについては、「社会的な混乱をもたらす危険がある!」とする反対論が根強い。ですから、「政府紙幣」を新規に発行・流通させることまではやらないで、もっとスマートで実務的に容易なやり方として、国(政府)が無限に持っている無形金融資産である「政府貨幣の発行特権」のうち、必要額ぶん(たとえば500~600兆円ぶん)のその権利を、政府が日銀に売るという方式にすればよいでしょう。その代金も、日銀券の札束などではなく、日銀が電子信号でそれだけの金額を政府の口座に振り込んだことにするだけでよい。紙幣を刷りまくる必要などはない。このやり方で、政府は、容易に巨額の財政資金を得ることができます。
Q ── 日銀さんは、それでOKなのですか?
A: 日銀法(日本銀行法)の第4条では、日銀が常に政府の経済政策の基本方針に忠実に従うべきことを義務づけています。ですから、総理大臣および財務大臣が、同じく日銀法の第43条と第38条の発動という手順をも正しく踏んで、このような財政財源調達方式への協力を、政府の経済政策に不可欠なことであるとして日銀に要請した場合には、日銀がそれを拒否してしまうといったことは、まず、考えられません。そんなことがなされれば、日銀法違反なのです。
Q ── つまり、スマートで容易な方式で、「国の貨幣発行特権」という「打ち出の小槌」を活用できるのですね。では、それをどのように使えばよいのですか?
A: この「打ち出の小槌」財源を利用することになれば、在来の意味での国家財政バランスでの黒字、赤字などということは無意味になります。したがって、国債の新規発行などは全く行なわずに、「打ち出の小槌」財源をフルに活用して、これまでの政府負債をどんどん償還していくとともに、うんと大規模な内需拡大型の財政政策を発動し、日本経済をめざましく興隆させていけばよいのです。しかも、実は政府当局(内閣府)が隠蔽・秘匿していることなのですが、私の精密な推計の結果で、マクロ的に厖大なデフレ・ギャップ(総需要不足による生産能力の遊休)が、わが国の経済で発生・累増してきていることが判明しました。つまり、生産能力の余裕が有り余っており、インフレ・ギャップ(生産能力の不足、総需要の超過)の発生によるディマンド・プル型(需要が引っ張る型)の物価上昇が生じる怖れは絶無なのです。ですから、いわば後顧の憂いなく、「打ち出の小槌」による財政出動を超大規模でやってよいわけです。
Q ── 麻生内閣の経済政策スタンスについては、どう考えるべきでしょうか?
A: 今、もしも麻生内閣が、これまでのような姑息でへっぴり腰の政策スタンスを振り捨て、「国の貨幣発行特権」による「打ち出の小槌」財源をフルに活用した財政出動による大規模なケインズ的内需拡大政策の断行を決意して、わが国の実質GDPを、たとえば5年間に1.5倍、10年間に2倍にする(年成長率7~8パーセントの高度成長)ということを明白に確約・声明したとしたら、どうでしょう。もちろん、そうすることは、わが国の経済を輝かしい繁栄と高度成長の軌道に乗せることになります。自然環境の改善、新エネルギー源の開発、所得格差の縮小、学術・芸術の振興、防衛力の整備、等々の重要国策もどんどん進め、年々の基礎年金の年間給付額の2倍への引き上げ、国民健康保険の料率の半額への引き下げといった施策なども断行し、増税や国債発行などは全く行なわず、そして、政府の負債残高(国債発行残高)も、200~300兆円ほどの削減を同期間内に実現すると、堂々と、声高らかに宣言・公約して、その予算計画、および、財源調達手段の詳細も明示・公表することを行なったとすれば、全国民は歓喜のうずでしょう。そこで、総選挙を行なったとすれば、浅生氏の率いる自民党が、記録的な大勝をおさめうることになるのは必定です。「打ち出の小槌」財源を活用すれば、こういった良いことずくめ政策をきわめて容易かつ安全確実に実施できるのです。しかし、麻生氏には、それをやる決断がつかないでしょうね。総選挙での自民党の苦戦は必至。民主党も、やってくれそうにありません。日本経済は絶望的に停滞・衰退を続けるのみ! 残念です!
A: はい。国家財政が破綻に瀕して経済政策が麻痺し、国の衰退が深刻化してやまない悩み、これを一気に解決できる方法はないのかという発想からあみ出したのが、「政府貨幣・政府紙幣」発行権の大規模発動というビジョンです。
Q ── 「政府貨幣・政府紙幣」発行権とは、どんなことなのですか?
A: 私たちが普段使っているお金のうち、「お札」つまり日銀券は、日本銀行の発行ですが、コインは日銀ではなく、政府が出している「政府貨幣」です。「政府紙幣」もこれに含まれます。「日銀券」と「政府貨幣・政府紙幣」とでは、大きな違いがあります。日銀券は銀行券ですから、ひらたく言えば、日銀という銀行が振り出した手形と同じ借金の証文です。ですから、日銀券が発行されますと、日銀の会計では、その額だけ日銀の借金(負債)が増えたという勘定になります。ところが「政府貨幣」の発行額は、「政府紙幣」の発行額もですが、政府の負債にはなりません。コインや政府紙幣の発行益(専門用語では「造幣益」)は国家財政の正真正銘の収入となります。利息の支払いや担保は不要、返済も不要です。 国民にも負担をかけずに、巨額の財政財源が得られます。しかも、この「政府貨幣・政府紙幣」発行権は無制限に認められていて、数百兆円、数千兆円の発行も可能です。つまり、国は埋蔵金などとはレベルの違う無限大の貨幣発行特権という無形金融資産の「打ち出の小槌」を持っているのです。
Q ── この「打ち出の小槌」は法的にも認められているのですか?
A: はい、そうです。現行法「通貨の単位および貨幣の発行等に関する法律」(昭和62年、法律第42号)で、明白に認められていることです。ですから、現在の危機を突破するためには、今こそ、国家財政の財源として造幣益が十分に得られるように、「政府紙幣」を発行し始めるべき時なのです。しかし、日銀券と政府紙幣を併行的に流通させることについては、「社会的な混乱をもたらす危険がある!」とする反対論が根強い。ですから、「政府紙幣」を新規に発行・流通させることまではやらないで、もっとスマートで実務的に容易なやり方として、国(政府)が無限に持っている無形金融資産である「政府貨幣の発行特権」のうち、必要額ぶん(たとえば500~600兆円ぶん)のその権利を、政府が日銀に売るという方式にすればよいでしょう。その代金も、日銀券の札束などではなく、日銀が電子信号でそれだけの金額を政府の口座に振り込んだことにするだけでよい。紙幣を刷りまくる必要などはない。このやり方で、政府は、容易に巨額の財政資金を得ることができます。
Q ── 日銀さんは、それでOKなのですか?
A: 日銀法(日本銀行法)の第4条では、日銀が常に政府の経済政策の基本方針に忠実に従うべきことを義務づけています。ですから、総理大臣および財務大臣が、同じく日銀法の第43条と第38条の発動という手順をも正しく踏んで、このような財政財源調達方式への協力を、政府の経済政策に不可欠なことであるとして日銀に要請した場合には、日銀がそれを拒否してしまうといったことは、まず、考えられません。そんなことがなされれば、日銀法違反なのです。
Q ── つまり、スマートで容易な方式で、「国の貨幣発行特権」という「打ち出の小槌」を活用できるのですね。では、それをどのように使えばよいのですか?
A: この「打ち出の小槌」財源を利用することになれば、在来の意味での国家財政バランスでの黒字、赤字などということは無意味になります。したがって、国債の新規発行などは全く行なわずに、「打ち出の小槌」財源をフルに活用して、これまでの政府負債をどんどん償還していくとともに、うんと大規模な内需拡大型の財政政策を発動し、日本経済をめざましく興隆させていけばよいのです。しかも、実は政府当局(内閣府)が隠蔽・秘匿していることなのですが、私の精密な推計の結果で、マクロ的に厖大なデフレ・ギャップ(総需要不足による生産能力の遊休)が、わが国の経済で発生・累増してきていることが判明しました。つまり、生産能力の余裕が有り余っており、インフレ・ギャップ(生産能力の不足、総需要の超過)の発生によるディマンド・プル型(需要が引っ張る型)の物価上昇が生じる怖れは絶無なのです。ですから、いわば後顧の憂いなく、「打ち出の小槌」による財政出動を超大規模でやってよいわけです。
Q ── 麻生内閣の経済政策スタンスについては、どう考えるべきでしょうか?
A: 今、もしも麻生内閣が、これまでのような姑息でへっぴり腰の政策スタンスを振り捨て、「国の貨幣発行特権」による「打ち出の小槌」財源をフルに活用した財政出動による大規模なケインズ的内需拡大政策の断行を決意して、わが国の実質GDPを、たとえば5年間に1.5倍、10年間に2倍にする(年成長率7~8パーセントの高度成長)ということを明白に確約・声明したとしたら、どうでしょう。もちろん、そうすることは、わが国の経済を輝かしい繁栄と高度成長の軌道に乗せることになります。自然環境の改善、新エネルギー源の開発、所得格差の縮小、学術・芸術の振興、防衛力の整備、等々の重要国策もどんどん進め、年々の基礎年金の年間給付額の2倍への引き上げ、国民健康保険の料率の半額への引き下げといった施策なども断行し、増税や国債発行などは全く行なわず、そして、政府の負債残高(国債発行残高)も、200~300兆円ほどの削減を同期間内に実現すると、堂々と、声高らかに宣言・公約して、その予算計画、および、財源調達手段の詳細も明示・公表することを行なったとすれば、全国民は歓喜のうずでしょう。そこで、総選挙を行なったとすれば、浅生氏の率いる自民党が、記録的な大勝をおさめうることになるのは必定です。「打ち出の小槌」財源を活用すれば、こういった良いことずくめ政策をきわめて容易かつ安全確実に実施できるのです。しかし、麻生氏には、それをやる決断がつかないでしょうね。総選挙での自民党の苦戦は必至。民主党も、やってくれそうにありません。日本経済は絶望的に停滞・衰退を続けるのみ! 残念です!
by niwa-haruki
| 2009-06-12 23:27
| 経済論